パトロール隊は少ない耕作地に加え、季節ごとに氷河の形を観察・記録し、それをもとにその後の自然災害の予測する。
価値: 10000
Title: 『氷河の記録』
Author: クリスチャン・ロー
何日も続いた吹雪がようやく止み、一晩中吠え続けた見張りの猟犬はやっと眠りにつくことができた。明け方にクミ兄弟がよろめきながら戻り、襟元に焼け焦げた跡のついた、真紅色の皮のコートを持ち帰った。それはカースのコートで、彼は狼の群れに襲撃されたのだ。
凍えるような寒さの中、食料はすぐに底をついた。明日魚肉の雨でも降らない限り、私たちはここで死ぬだろう。狼が私の死骸を引き裂きに来ないことを祈るばかりだ。
足の怪我が悪化し始めた。クミ兄弟が羊肉を持ってきてくれたおかげで、久しぶりに温かい食べ物を口にすることができた。二人は疲れてお腹を空かせているように見えたが、食事をしたと言って譲らない。夜中に奇妙な摩擦音が聞こえた。それは弟の方が草の根を齧っている音だった。私は彼の肩に長い引っかき傷があることに気づいた。
気温が上がれば氷河は溶け、私たちが避難している洞窟は消え去ってしまう。洞窟の外のオオカミはまだ去っておらず、暗闇の中で最上位のオオカミの息遣いが聞こえる。足を怪我していなかったとしても、逃れることは不可能だろう。他のパトロール隊が私たちの足跡を見つけてくれることを祈る。
氷河はようやく溶け始め、洞窟の奥から小川が流れ出した。刺すような冷たい風が吹いているにもかかかわらず、妙な暖かさを感じる。オオカミは退却した。彼らの白い毛皮は雪に紛れることができなくなったのだ。クミ兄弟は雪の溶けた地から最後の羊肉を持ち帰り、私たちはそれで最後の厳しい日々を乗り切った。
陽の光が段々と氷を貫通する中、私は時間を計算した。あと一回日の出を待てば、帰路を探す旅に出ることができるだろう。
(ここから段々と文字がしっかりしてきている)
(後に他の記録はない)