航海における見聞を描いた小説。
「今日の災難があなた方一人一人を巻き込んでいるのならば、それは反省すべき時が来たからである。善良な人はそれを恐れる必要はなく、悪人こそ恐怖に震える理由がある。世界という巨大な艦隊では、すべての船が航路を外れて深海に沈むまで、容赦のない嵐が続くのだ。海に沈む者が帰ってくる者より多いのは、神の本来の意図ではない。世界はあまりにも長い間悪に妥協し、神の慈悲に依存して生き延びてきた。両手を血で汚した人々は、自分の罪は後悔すれば洗い流されると思っている。
懺悔さえすれば、あとはすべて神に任せれば良いと。」船首に立った神父は、悲しげで、しかし良く通る声で言った。私たちが航路を外れてから16日が経ち、病気で苦しむ人が次々に出てきた。船長は彼らは薄暗い船室の最下層に配置し、私たちとドアで隔てた。上層の世界で暮らす私たちは日々の嵐の中で生きる道を探し、下層の世界にいる彼らは生きる恩赦を求めて陰で祈っている。
船員の間で恐ろしい考えが生まれた。
残された少ない食料のために、自分たち以外の誰かが地下に投げ込まれることを期待したのだ。危機が始まった日には、誰一人としてこのような生活をすることになるとは思っていなかった。連日甲板で神父に導かれて祈りを捧げていたごく一部の人を除いては。今日は私もそこに加わった。
誰にもその理由を説明しなかったが、すぐに皆分かるだろう。それでも無関心だろうけれど。ある日の深夜に、悪夢で目が覚めた。空気中に邪悪な匂いが広がっており、展望台に登ると、真っ暗な中、遠くで青い炎が踊っているのが見えた。我々の船隊は地獄の門に向かって進んでいたのだ。善意からか、あるいは恐れからか、私はその秘密を自分の心にしまい込んだ。仲間とともに地獄へ行く覚悟で、彼らと行動を共にし続けた。
しばらくの間、私の気分はどん底にあった。シーシュポスの岩が心に重くのしかかり、息苦しかった。だから私は神父の言葉に救いを求めるしかなかった。航路から外れて20日目、私たちは西へ向かって航行を続け、やがてスラバヤに辿り着いた。船倉の奥深くに積まれた悪夢は、今までのことが現実であることを証明していた。だとすれば、あの青く燃えていた地獄の扉も現実だったのだろうか。
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邪悪な匂い | 硫黄の匂い |