戦争の勃発を防いだ歴史上の偉大な使者の物語が記されている。
「狡猾な泥棒め、逃がさんぞ!」商人は男の子の服を掴み、城北の守備兵に助けを求めた。
兵士はまるで見物人のように2人に歩み寄り、何も言わず、商人に手を放すように合図しただけだった。男の子が布包みをきつく抱きしめたので、兵士は中身が武器だと思って警戒し、大声で言った。「中を見せろ。何が入っている?」
商人は立ち上がり、一緒に包みの布を剥がし始めた。「これは私の杖だ。この泥棒は夜に杖を盗んで町から持ち出そうとしたんだ。」商人は布を引き裂きながら言った。男の子は商人を指して罵った。「この杖はお前が他の場所から盗んだのに、いつお前の物になったんだ?僕はこれを持ち主に返す!」
商人は少し焦って言い返した。「この愚かな子供は杖をタホ川に投げ込もうとしているが、これは…」その時、布が完全に剥がれ、目立たない棒が皆の目の前に現れた。
兵士は笑った。「お前たちはずっと木の棒について争っていたのか。フランシスコ、棒きれのために子供と争っても仕方ないだろう。」商人も呆然とした。「もちろん違うが、私は目撃したんだ……なぜだ?だが彼が杖を盗んだのは事実だ。逃がすまい!」
野次馬が増えてきた。兵士は商人の前に出て、そばの血染めの木棚を指して、「フランシスコ、誣告も罰せられるぞ!」と告げた。商人はまだ諦めきれず、手を木の棒へ伸ばした。
「うわっ!」2匹の蛇が布袋から這い出て商人の手を噛み、子供はそれに乗じて走り去り、背の低い体で人ごみの中から抜け出した。兵士は人を連れて追いかけ、シントラ山間の窪地でやっと彼を見つけたが、棒の痕跡はとうに無くなっていた……
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タホ川 | リスボン河口 |
血染めの木棚 | 拷問台 |
シントラ山間の窪地 | リスボン北部山脈 |