日本の地方劇の物語とひな型となった文章。
日が暮れて雪子が帰ってきたが、この時も腰に仮面をぶら下げていた。
明かりが見えてきた頃、僧都はやっと雪子に追いついた。彼は大いに驚いた。「大将ともっと仏法について話したいと思っていたが、雪子の足がこんなにも速いとは。それに大将の姿が見当たらない。2人は仲違いでもしたのだろうか。」僧都が考え込んでいると、雪子は誰かの姿を確認したのか、怒りをあらわに仮面を外し、長崎城の外堀に投げ込んだ。城の方から歩み寄った大将は、「師匠、なぜ
怒っているのだ?」と問うた。
僧都は大将がわざと自分に質問しているのだと理解し、答えた。「小生は一夜待っても人探しが上手くゆかず、もう二度と雅楽しない。今実際に会えたが、歓迎されていない。」
「原因はあの方にあるはず。挨拶せずに立ち去ったのだから、謝罪すべきだ。」大将はゆっくりと池に入り、仮面を探して雪子に返そうと考えた。僧都は、二人が仲直りできれば、互いに慧度したことになるだろうと思った。
Keywords | Translated keywords |
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雅楽 | 東方宮廷音楽 |
嗔戒 | 恨みの感情 |
慧度 | 最高の知恵を得る |